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税金相談室

2000年8月5日 22:00:00

キャピタル・ゲイン、キャピタル・ロス

Inage Hawaii

Q:株、ミューチュアル・ファンド、債券などを売却した際の譲渡益や譲渡損の税金について教えてください。


A:株、ミューチュアル・ファンド、債券(ボンド)などを投資目的で購入所有した場合、これら資産の売却益(キャピタル・ゲイン)は課税対象となり、売却損(キャピタル・ロス)は控除が認められます。 購入してから、1年を超え保有した投資資産を譲渡して生じた売却益を「長期キャピタル・ゲイン」と呼び、これには優遇税率の20%が適用されます。 連邦税率が15%、28%、31%、36%、39・6%という5段階の累進課税であることを考えると、20%を最高とする長期キャピタル・ゲインの税率は、所得レベルが高い納税者にとって有利な措置と言えます。 所得レベルが低く、15%の低税率が適用される納税者に長期キャピタル・ゲインがある場合は、10%の税率が適用されます。 株などを購入し、売却までの保有期間が1年以下の場合を「短期キャピタル・ゲイン」と呼びます。短期キャピタル・ゲインには、優遇税率ではなく5段階の通常の税率が適用されます。 キャピタル・ゲイン(ロス)は、申告書スケジュールD様式に明細を記入して提出します。記入事項は、シェア数、銘柄、購入年月日、売却年月日、売却価格、取得費用、売却益、または売却損です。購入年月日は、実質上の取引交換日である「トレーディング・デート」を使用し、証券会社における支払記帳を示す「セトルメント・デート」は使用しません。株、ミューチュアル・ファンド、債券などの売却にたずさわった金融機関は、シェア数、銘柄、売却価格をフォーム1099ーB様式に記載してIRSに報告しています。従って、キャピタル・ゲイン(ロス)を確定申告の際に報告しないと、後でIRSから追徴税の通知が送られてくるため、注意しなければなりません。 売却の際にかかったコミッションは、取得費の欄に加えて報告し、売却金額がフォーム1099ーB様式上の金額と一致するようにします。 キャピタル・ゲインは、キャピタル・ロスと相殺します。相殺後に長期キャピタル・ゲインが残れば、前述の20%(10%)の優遇税率を適用して税金を計算することになります。相殺後に短期キャピタル・ゲインが残っていれば、その金額はほかの所得と合算して、通常の5段階の税率を適用します。 キャピタル・ゲインよりキャピタル・ロスのほうが多く、相殺後にロスが残った場合は、給与、利子、配当、事業所得などの通常所得と相殺できます。ただし、1年間に最高3000ドル(夫婦個別申告は1500ドル)が相殺控除の限度額となっています。 相殺後、まだキャピタル・ロスが残った場合は、翌年に繰り延べ、キャピタル・ゲインや通常所得との相殺控除が可能です。繰り延べ年数は、キャピタル・ロスが相殺控除によってなくなるまで無期限です。 ちなみに、個人が所有する財産、例えば住宅、乗用車、宝石・貴金属、骨董品、切手などの投資目的以外のものを、取得価格より高い値段で売り、売却益が生じれば、所得税の対象となります。また、逆にこれらの売値が取得価格より低くなって売却損が生じても、控除にはなりません。ただ、納税者が住居として使っている住宅の売却益だけは、25万ドル(夫婦合算申告は50万ドル)までを非課税とする特例があります。 KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄

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