税金相談室
2007年4月25日 22:00:00
ギャンブル所得と損失控除
質問: 宝くじが当たりました。税金の報告、控除などについて教えてください。 答え: ●ギャンブル所得・損失 宝くじ、ラッフル、競馬、ルーレット、スロットマシーン、トランプ、麻雀などの賭けに当たって取得した「ギャンブル所得」は、所得税法上、課税対象となり、確定申告をしなければなりません。フォーム1040、ライン21の「その他所得」の欄で報告します。給与、利子、配当などの他の所得と合算されて、通常の連邦所得税率(10%から35%までの5段階の累進税率)、および、居住している州の税率が適用となります。 所得に対応する「ギャンブル損失」は控除が認められ、項目別控除スケジュール、ライン22の「その他の控除」の(調整総所得の2%の「足切り制限」対象とはならない)欄で報告します。損失として控除が認められるのは、所得の金額までであり、宝くじのはずれ券、ラッフル購入代金、競馬の負け券など、賭けごとを行う際に費やした賭け金を含む直接経費で、同一年度内のあらゆる支出の合計額です。「ギャンブル損失」は項目別控除方式を選択した場合にのみ控除が認められ、概算額控除方式を採用した場合は控除できません。損失が所得よりも多いため控除が認められなかった金額は、翌年に繰り越されず控除の権利を失います。 ●控除が認められない損金・経費 賭け金(元金)の支払いを必要としない懸賞の申込みを行い、抽選などによって当選して賞金を獲得した場合、賞金は課税対象になりますが、控除は一切認められません。福引き、ドア・プライズ、商品購入義務のないくじ引きなどに参加して賞金を手に入れた場合なども同じで、控除の対象となる元金の支出がないため控除は認められません。また、ギャンブル活動に参加するための間接経費、例えば、旅費、交通費、宿泊費、食費、通信費、文房具代などは、ギャンブルを職業としていない限り控除は認められません。 ●源泉徴収 ギャンブル所得の受取人は、年明けに氏名、住所、納税者番号、ギャンブル所得の金額、源泉徴収税額などが記載されたフォームW-2Gを受け取ります。ギャンブル所得の金額が600ドル以上である場合、または賭け金の300倍以上である場合に、同フォ-ムが発行されます。 ギャンブル所得が賭け金の300倍以上で、賭け金相殺後の金額が5000ドル以上である場合、25%の源泉徴収税が差し引かれます。税額は、ギャンブル所得の金額と共にフォ-ムW-2Gに記載されています。ギャンブル所得が5000ドル未満の場合は源泉徴収の対象外です。源泉徴収で課税関係が完結するわけではなく、ギャンブル所得があった場合は、源泉徴収税の有無に関係なく確定申告をする義務があります。 ●予備源泉徴収 25%の源泉徴収税は、納税者が支払人に正しい納税者番号(ソーシャル・セキュリティー番号またはITIN)を提出した場合に適用されます。納税者が正しい納税者番号を提出しない場合は、5000ドル以上のギャンブル所得の支払いは、25%の源泉徴収税のかわりに28%の予備源泉徴収(バックアップ・ウィズホールディング)の対象となります。 ●現物受取の源泉徴収 現金以外の賞品、例えば車、電気製品、家具などが当たった場合、現金での受取りと同様に扱われて課税されます。現物の時価が600ドル以上である場合は、年明けに報告書フォ-ムW-2Gが発行されて送られてきます。時価から元金を差し引いた金額が5000ドル以上である場合は、次のいずれかの方法により源泉税相当額を納めます。①時価の25%を納税者が負担する方法、または、②時価の33.3%を支払人が負担する方法です。①では、25%の現金が納税者から支払人へ支払われ、支払人がIRSへ納付します。②では、税引後の金額を時価とするグロスアップ計算に基づいて支払人がIRSへ現金を納付します。二者間でフォ-ムW-2G上のグロス金額、源泉徴収税額が異なります。 ●非居住外国人 非居住外国人がアメリカの商活動と実質的に関連のないギャンブル所得を得た場合、非居住者に対する30%源泉徴収税の対象となります。年明けに所得金額、源泉徴収税額などが記載されたフォーム1042S様式が支払人から発行されます。課税関係は30%源泉徴収税で完結するため、確定申告の必要はありません。日本でもギャンブル所得を確定申告書上報告して税金を計算する際、米国源泉徴収税は、外国税額控除の適用により日本の税金と相殺されて、二重課税の回避が達成されます。