会計相談室
2021年7月16日 13:00:00
デューデリジェンス
Q. 米国に進出を考えています。米国の企業を買収することを検討していますが、財務・税務デューデリジェンスとは何をするのか教えてください。
A. 通常は企業を買収する前に、買い手は対象となる企業の価値やリスクを調査します。この調査をデューデリジェンス(Due Diligence)といいますが、第三者間での売買では不可欠な手続きです。私ども会計事務所では、買い手の依頼により、主に財務・税務の視点から調査を行ないますが、意思決定までの限られた時間内で、対象企業のごく限られた従業員とのやりとりで調査を実施することが求められます。
財務・税務のデューデリジェンスでは、例えば以下のような確認作業や経営者への質疑応答を行ない、対象企業の価値を算定し、リスクを評価します。
• 預金残高の確認
• 売掛金の回収状況や貸倒引当金の内訳・計算方法の確認
• 棚卸資産の所在確認や評価方法の確認(売り物にならないものが計上されていないかどうか等)
• 固定資産の所在確認・時価評価
• 不動産の鑑定評価の依頼
• 無形固定資産の評価(顧客リスト、ノウハウなどを対象企業の収益力から算定)
• 簿外債務の有無の確認
• 過年度の法人税、給与税、売上税、固定資産税等の税務申告書の内容査閲(適正に行われているかどうか、未申告の期間や未納の税金がないかどうか等を確認)
• 過去の税務調査の記録の確認
• 関連者間の取引内容の把握(移転価格税制関連-第三者間の取引条件と同等でない条件の取引があるかどうか等)
• 繰越欠損金の確認
• オーナーへの報酬支払額
• キー従業員への給与支払額
• 不特定支出の有無の確認
• 給与金額の確認
• 重要取引先の洗い出しと売上高の確認
• 重要仕入先の洗い出しと仕入金額の確認
• 特殊な取引や契約の有無の確認
• 将来の事業計画
和田直美