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会計相談室

2019年11月15日 14:00:00

ワーキングペーパーって何じゃ。

Inage Hawaii

「最近わしの会社の決算書の監査を担当している会計士と話したら、ワーキングペッパーがどうのこうのといっていたんじゃが、ワーキングペッパーってどんな胡椒じゃ?」 


 


会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)におもむろに尋ねた。



「鬣さん、それはワーキングペーパー(監査調書)です。ワーキングペーパーは通常、監査そのものを目に見える形にしたものです。監査自体は会計士の判断を行うための様々な作業です。」



「ほう、何となくわかるようでわからない、つかみどころのないペッパーじゃのう。具体的にはどんなものなんじゃ?説明してくれんか?」



「はい、まずワーキングペーパーは監査に対して有用な情報を提供します。例えば、監査が計画通り進んでいるかどうか、監査意見の根拠、監査チームのメンバー間でのコミュニケーション、監査自体のレヴュー、評価、翌年の監査スタートの適切な開始時期などです。」



「ほう、ワーキングペッパーとは重要なもんじゃのう。保管義務などあるのか?」



「はい、監査人は監査報告書を発行してから60日以内にワーキングペーパーを完成させなければなりません。上場会社の監査では45日以内です。そして、5年間の保管義務を負います。」



「その60日か45日以内に何をするのじゃ?」



「ワーキングペーパーの製本やサインオフ、確認書の原本との差替えなど限定された作業のみです。」



「完璧なワーキングペッパーの作り方なんてのはあるのか?」



「完璧なワーキングペーパーの作り方というものはありません。ワーキングペーパーは監査人の判断によるからです。ただ、ワーキングペーパーの範囲は、監査手続きの性質や重大な間違いが起きるリスク、監査作業に要する判断の範囲、監査証拠の重大さなどによって決まります。ワーキングペーパーは大きく2つに分かれます。1つはパーマネントファイル(永久調書)といって、会社のビジネスの性質や産業など複数年にわたって使用するものです。そこには会社設立登記簿謄本やローンの契約書、年金プランなどがファイルされます。もう1つはカレントファイル(当座調書)です。カレントファイルにはその期の監査に著しく関係のあるもののみがファイルされます。例えば、財務諸表や監査意見、監査計画書、リスクアセスメント、監査契約書や監査手続きなどです。」



「それらは全て紙ベースで行うのか?」



「いいえ、最近では電子ファイルも増えてきていますし、様々なソフトウエアも販売されています。」



「ほう、いろいろあるなぁ。勉強になったわい。ありがとう。」




米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜

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